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54.学校を辞めたい訴え、休みがちな娘

Q.高校1年生の娘は、3学期に入ってから毎日のように「学校を辞めたい」と言います。クラスの友達がお互いに、人を傷つける言葉を平気で浴びせかけたり、ゴミや噛んだガムを平気で教室に吐き捨てたりする姿を見ていると、イライラして堪えられないと言います。転校することも話し合いましたが、本人はそれも嫌なようです。最近は、朝も起きられず、学校を休みがちです。

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A.人の心を傷つけたり、迷惑をかけることはいけないと、親御さんにきちんと教えられ、育てられた娘さんなのですね。でも、悲しいかな、社会には、そうしたことを教わらずに育った子どもがたくさんいます。その現実を前にしたときに、毎日をイライラした気持ちで過ごすか、それとも、友達に自分から何か働きかけをしていくか、どちらかです。娘さんはもう高校生。友達のマイナス面ばかりを見るのではなく、良い面をいっぱい見つけ出せるようになって頂くことが大切だと思うのです。

高校生期は、「感情論理」というものが芽生えてくる時期です。相手に一部分でも嫌なところがあれば、全部が嫌になる。よく「嫌いな先生の教科は勉強しない」などと聞くのはこの「感情論理」のためです。白か黒か、良いか悪いか、両極端しかない。中間がないのが高校生期です。そこで、中間の世界、「まあまあ」の世界があることを親がふれあいの中で教えていくことが大切です。

例えば、「そうだね。本当に嫌だね。あなたが、人の嫌がることをしてはいけないと分かる子に育ってくれてうれしいわ」と共感し、認めながら娘さんの話を聞きます。そして、「だけどね、あなたやお母さんの中に、良い所も悪い所もあるのと同じように、人には必ず、良い所があるのよ。そこを見つけられるように努力できるといいよね。あなたなら、きっとできるよ」と伝えていく。同時に、お母さん自身が、わが子の良い所をいっぱい見つけ、褒めてあげることもとても大切です。「自分の良い所を褒められるとうれしい」という感覚を味わうと、人にも同じように接することができるのです。

高校生期は、社会に出るための訓練時期。「自分だけが素晴らしければいい」という娘さんではなく、誰とでもコミュニケーションを図ることができ、その中で、周囲もよりよい人生が送れるよう影響を与えていける娘さんに育てていくことが、その人生をより素晴らしいものにしていく大きな鍵にもなるのです。

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